徳江 政英 院長（川崎宮前平とくえ内科循環器内科クリニック)のインタビュー

患者さんの心臓を預かる医療に長年従事

研修医時代、危険な状態だった患者さんが心臓カテーテル治療を通じて一命を取り戻し、元気に歩いて退院されていく姿を拝見しました。循環器内科は一秒を争う緊迫した場面に遭遇することが少なくない科です。そこで先輩たちと同じように、私も患者さんの助けになることができればと思い、この道を選択しました。

循環器の治療に携わる中で、特に血管内カテーテル治療と睡眠医療を専門としてきました。実は、循環器に問題を抱える方の多くが、睡眠障害を合併しているという事実があります。この事実をより多くの人に伝え、ケアをしていくには開業が最上の道と考え、縁あってここ宮前平にクリニックを開くこととなりました。

あらゆる疾患を丁寧に診察

循環器や睡眠障害の専門的な意見を聞きたいという方はもちろんのこと、風邪などの急性症状にはじまり、体調がすぐれない方はお気軽に受診ください。クリニック入り口のドアには体温計が設置してあるなど、感染対策も万全を期しています。

病院勤務時代、複雑な患者さんもたくさん経験してきました。この方はクリニックで充分に拝見できるのか、それとも高度医療機関でサポートを受けたほうがいいのか。これまでの経験と知識を生かし、いわば医療の交通整理は過不足なくおこなえると自負しておりますし、地域のクリニックとしての役割と責任を果たしていきたいと考えています。

循環器疾患と睡眠障害の深いかかわり

循環器疾患を抱えた方は、不眠症など、なんらかの睡眠障害を併発していると申し上げました。心臓に負荷がかかると、利尿ペプチドというホルモンが分泌されて尿意を催します。従来、ご高齢の方の夜間頻尿はまず前立腺の問題と紐づけられていましたが、前立腺に異常がないのに症状がある方も多く、その一因として循環器疾患があることが少なくないのです。さらに、睡眠障害があると低酸素状態となり、今度は薄くなった血中の酸素を補うため、血圧が上がり、脈が早くなり、心臓に負荷がかかります。結果、心臓は休みなく働いていることになりますし、日中の眠さや起床時の血圧の上昇といった現象を引き起こします。つまり、夜間の一連の流れが心臓と睡眠の負のサイクルを進めていることになります。

逆に言えば、睡眠障害と循環器疾患の両方に医療が介入することで状況が一変する可能性があるということです。睡眠障害が改善すれば血圧も下がり、それは不整脈の予防につながります。ひいてはそれが脳梗塞等、次なる臓器障害の予防にもつながってきますし、睡眠障害と循環器疾患を関連づけて考えることが大切なのです。

糖尿病・高血圧・不整脈などをトータルで

クリニックでは糖尿病の指標となるHbA1cの採血もおこなえます。採血後、10分ほどで検査の結果が出ますので、患者さんに再度足を運んでいただく必要がなく、スムーズに治療をおこなうことが可能です。糖尿病の患者さんの多くが循環器疾患を抱えておられます。別の見方をすれば、糖尿病の患者さんは循環器疾患の予備軍とも捉えられるでしょう。その意味では、糖尿病の治療を早期に開始し、良いコントロールを目指すことは循環器疾患の進展を抑えるという利点もあると考えています。

地域のみなさんへメッセージ

ご高齢の方を例にすれば、ご家族やケアマネジャーさん、ヘルパーさんのサポートがあって初めてこちらのクリニックにいらして、私と「はじめまして」のご挨拶ができるということになります。つまり、医療は人と人とのつながりがあって成り立つものなのです。その感謝の気持ちを忘れず、日々診療に向き合ってまいります。循環器の専門医として、これまで得た知識や技術、つながりを生かし、より良い医療をみなさんに届け、ご満足いただけるよう、これからも日々努力していきます。お身体のことでどこか不安がありましたら、どうぞ遠慮なく気軽にお立ち寄りください。

※上記記事は2022年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。