鈴木憲太動物病院 鈴木 憲太 院長 KENTA SUZUKI
大学卒業後、幅広い症例に携わり、スキルを磨く。1982年、横浜市青葉区に開業。
大学卒業後、幅広い症例に携わり、スキルを磨く。1982年、横浜市青葉区に開業。
私が生まれ育ったのは恩田町で、ちょうどここから町田の方に少し行った辺りにあります。もう本当に山の中という風情で、私は山の子として育ったんです。そんな風ですから、周りには犬や猫はもちろん、ニワトリ等の動物が身近に存在していました。ところで、今の若い世代の方はレース鳩というのをご存知ではないと思うんです。私はそのレース鳩に熱中していたことがあります。当時おこなわれていたレースの段取りを説明しますと、まず、前の晩に横浜全域から各自が持ち寄った鳩をトラックに積み、100キロ離れた場所へ運んでおきます。そして、次の朝に鳩を放して、自宅に帰っていくのを待つんです。レースでは、距離を掛かった時間で割って、分速にして争っていくわけです。100キロが終われば、次に200キロ、300キロとなり、最終的に北海道まで距離を伸ばしていきます。これは余談になりますが、今、駅とかで見かける鳩は、そのときに途中で帰れなくなった鳩たちの子孫なんですね。
話が横道に逸れました(苦笑)。私はそんな風でしたから、年頃になって進路に悩んでいたところ、祖父から「お前は動物好きだから、獣医さんが良いんじゃないか」と薦められて、現在に至るという次第です。
1982年に『鈴木憲太動物病院』を開業し、はや30年が過ぎようとしています。動物達が元気になってくれれば嬉しいし、飼い主さんに喜んでいただければ、それが私の満足につながります。そうした意味では好きなことをして、苦にならないというのがこの仕事を続けてきた中での私のモチベーションになっているんでしょうね。
今は猫なら20歳、犬でも15歳を越えて元気な子は珍しくありません。仮に大型犬で15歳に達した子がいて、レントゲンやエコーでお腹の中に“何か”あるとわかったとしましょう。CTやMRを撮れば、その“何か”を判別することは可能です。しかしですね、CTを撮るには麻酔をかける必要があって、その麻酔でガクンって弱っちゃうことがあるんです。飼い主さんは愛着があるから、少しでも長く生きてもらいたいと思う。となれば、「もっと高度な診断治療を」となるのはある意味当然です。しかし、その高度な診断治療が場合によっては、マイナスになって命を縮めてしまうかもしれない。本当にその治療が良いことなのかどうか。それをしっかりと見極めていくことが、最終的に我々ジェネラリスト(ホームドクター)に求められるものだと考えています。
動物医療にも眼科や整形外科等、専門医の存在が重要度を増してきています。実際、私のところでも診断を経て、その種の病院に紹介することが少なくありません。これは先程お話しした部分と重なることですが、その際に重要なのが、より専門的な高度医療が、対象の患者さん、ひいては飼い主さんにとって本当に有用なのかどうかという点です。人の世界でも最近、大学病院等で総合診療科というものが出来て、まずはそこで診療科を振り分けるようになってきていますよね。動物医療も同じです。当院でまかなえるのか。それとも大学病院をご紹介するのか、高度医療センターや私が携わってもいるDVMsどうぶつ医療センター横浜に行っていただいた方が良いのか。それを適切に判断するということです。
口はばったいようですが、この判断は総合的な経験を積んだ獣医師だからこそ出来る技ではないかと自負しています。広く深く。難しいことではありますが、広くて深い診療を提供していきたいと考えています。
飼い主さんに伺うと、最近は「柴犬の飼い方」なんて本もあるようです。犬種によって多少飼い方が違ってくるのは確かですけども、「そこまで神経質にならなくても・・・」というのが正直な感想です。「この場合はこう。このケースはこうなる」、など本やネットに書いてあることに縛られてしまうと、育児ノイローゼのような状態に陥ることが往々にしてあります。基本的に、しっかりとごはんが食べられて、出るものが出ていれば大丈夫。動物を飼うということについて、もっと大きく構えていただいても良いかもしれません。逆にごはんを食べないということであれば、それはすぐにお電話していただければ良いですし、心配するポイントを間違えないようにしていただければと思います。
ご夫婦2人だけなのか?小さいお子さんがいらっしゃるのか?それとも、おじいちゃんやおばあちゃんも一緒に住んでいらっしゃるのか?置かれている家庭環境によって、飼育可能な動物はある程度区別出来ますし、出来れば飼い始める前にご相談をいただければと思います。ペットショップさんでも丁寧な説明をされる所もあると思いますが、餅は餅屋というところで、私どもに相談された方がベストかと考えます。飼い始めてからのケアも、お互いにスムーズにいくと思われますからね。お気軽にいらしていただき、気になったことがあれば、何なりとご相談ください。
※上記記事は2012.8に取材したものです。
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