呂 正仁 院長(呂歯科診療所)のインタビュー

呂歯科診療所 呂 正仁 院長

呂歯科診療所 呂 正仁 院長 MASAHITO RO

歯科医を志したきっかけと、宮前平で開業された理由について教えてください。

父が幸区で歯科医院を営んでおりましたので、必然的に「父の背中」を見て育ちました。夢見がちな高校時代は、アパレルなど華やかな業界で働くことも考えました。しかし父の仕事ぶりを見ているうちに、やはり歯科医師という職業が堅実でさまざまな方のお役に立てる仕事だと思うようになりました。年齢を重ねるにつれ、「手に職をつけなさい」という父の口癖が身にしみるようになってきたのです。大学を卒業した後は、大学病院の歯周病科の医局と総合病院の歯科にそれぞれ勤務し、1988年4月に開業しました。大学に在籍していたときよりも、臨床に携わるようになってからのほうがむしろ勉強する機会が多くなりました。勉強会では、歯科医療の最新情報やさまざまな臨床例が学べます。また臨床においては手術など外科系の仕事に携わる機会が多く、豊富な経験を積ませていただけたことがわたしの財産です。
宮前平を勤務地に選びましたのは、幸区で働く父、都立大で同様に歯科医院を営む兄に近い場所で仕事がしたかったことが大きな理由です。ちょうど宮前区におじが住んでおりまして、早くから宮前平駅前を候補地として選び、物件を探しておりました。

診療方針について教えてください。

どのような治療にも、同じ緊張感で携わっています。特に歯周病や虫歯を治すことに力を入れているのですが、患者さんはインプラントなど手の込んだ治療に感謝される傾向がありまして、時折複雑な気持ちになります。実は小さな疾患が進むことは大きな病気につながるため、このような疾患を早期に丁寧につぶしていかなくてはなりません。しかし残念なことに、患者さんは小さな疾患を放置し、大きな手術をするようになってやっと、健康管理に注力される傾向が強いようです。なかなか伝わらないのがもどかしいのですが、日ごろのケアの重要性はご説明させていただいています。実は歯という器官は大変敏感でして、紙1枚という薄いものでも感知します。歯根膜(しこんまく)という組織がサスペンションの役割を果たしていて、これが受容器となって歯で触れた感触を脳に伝えているのです。このような器官はほかにはありません。何か違和感を感じられることがありましたら、できるだけ早期におっしゃっていただけたらと思います。

インプラント治療についてのお考えをお聞かせください。

インプラント(人工歯根)は、失われた歯根の代替として患者さんのあご骨に埋め込み、物を咀嚼する力を取り戻すためのものです。わたしは、これまでの症例や勉強会で学んできた技術のすべてを治療につぎ込もうと考え、お世話をさせていただいてきました。そのためには最高の材料と技術を選択し、歯を美しく見せるための審美的な要素も取り入れてきました。しかし東日本大震災の後、以前インプラント治療をさせていただいた年配の患者さんから「寝たきりになったとき、インプラントのケアをどうしたらいいのかしら?」と尋ねられました。私自身は、セルフケア可能でメンテナンス性の高い治療をしてきたつもりなのですが、患者さんはセルフケアができなくなったときのことを心配されていました。
歯科医師は、建築物の設計者のごとく「よりよいものを」と考え、時には依頼者様の望まれる以上のことを付け加えてしまいます。しかしスペックが高くなる分構造は複雑になり、結果的には患者さんにとって使いづらいものになってしまうことがあります。お若い患者さんであれば、審美的要素やずっと使い続けられる永続性は必要ですが、お年を召した患者さんであればもっと「噛む」機能と清掃のしやすさを最優先したものであってよいはずです。わたしは現在、より患者さんのご年齢、生活習慣、健康状態を勘案したインプラントをご提供することに注力するようになりました。
先述の患者さんはご自身のこれからの健康を心配されていましたが、わたしは自分が行ったインプラント手術で噛む機能を回復された方が「寝たきり」になることはないだろうと考えています。と申しますのは、当院でさせていただいたインプラント治療でトラブルは1件もありませんし、噛む力を取り戻した方の健康寿命が延びているというデータも揃っているからです。きちんと噛んで食事をされている方の血液には老廃物が少なく、クリーンであるという実証データがあるのです。
しかしもしお世話した患者さんの中で健康を害され外出が困難になった方がいらっしゃる場合は、必ずお宅まで訪問して治療させていただきます。それがわたしの責務だと考えているからです。

比較的安価で修復物が作れる「セレック」という治療法について教えてください。

「セレック」はドイツ製の修復物作成システムです。簡単にご説明しますと、特殊なカメラを使って患部を撮影(スキャン)し、これをコンピュータに取り込みます。そしてこれによって取得した3Dデータを元に修復物を設計し、セラミック素材を削って作った修復物を患部に装着します。歯科技工士さんに発注して修復物を作る場合、セラミック素材の土台にジルコニア(人工ダイヤモンド)を用いますので、15万円程度の高価なものになってしまいます。もちろん品質が保証できる修復物ですが、当院に納入されるまで時間がかかります。この「セレック」を採用しますと、当院内で修復物を作成できますので、患者さんをお待たせすることがありません。しかも技工士さんに依頼する場合の約4割程度で作成できます。  患者さんのご予算に応じてこの治療を勧めさせていただいています。ご相談ください。

診察で心がけていること、そして地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

診察で心がけていることは、まず麻酔注射を痛くしないように気を遣っています。注射針を刺した瞬間に痛みを感じますと、患者さんは緊張し萎縮されてしまいます。あとは修復物をかぶせる際に、ほぼ完璧な状態まで高さなどを調整したうえで、「いかかですか?」とお聞きしています。ここまで綿密に仕事をしていくのがプロであると考えているからです。 地域のみなさまにお伝えしたいことは、みなさまとともに生き、これまで歯科医師としてさまざまな経験を積ませていただいた「恩返し」をさせていただきたいということです。また次世代を担う若い歯科医師を育てていくことにも尽力したいと考えています。

※上記記事は2014.1に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

呂歯科診療所 呂 正仁 院長

呂歯科診療所呂 正仁 院長 MASAHITO RO

呂歯科診療所 呂 正仁 院長 MASAHITO RO

  • 好きな本・愛読書: 百田尚樹著書「永遠の0」。姜尚中の著書。特に「心」「オモニ」。東北大震災以降、小説によって傷ついた人を救おうと決心された姜さんの姿に感銘を受けました。
  • 好きな映画: 「永遠の0」(2013年、東宝)。米国のヒューマンドラマ系の作品。若いころは「風とともに去りぬ」(1939年、米メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)が好きでした
  • 好きな言葉・座右の銘: ともに生きる
  • 好きな音楽・アーティスト: J-POP。特にサザン・オールスターズと松任谷由美
  • 好きな場所・観光地: 雪山
  • 生年月日: 1958年8月20日
  • 出身地: 神奈川県
  • 血液型: A型
  • 趣味・特技: ゴルフ、スキー

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