石垣 達也 院長(おまもりクリニック)のインタビュー

おまもりクリニック 石垣 達也 院長

おまもりクリニック 石垣 達也 院長 TATSUYA ISHIGAKI

浜松医科大学卒業・同大学大学院修了。浜松医科大学病院、静岡県立こころの医療センター、一般財団法人聖マリアンナ会東横惠愛病院に勤務。2022年6月に『おまもりクリニック』をオープン(東急田園都市線「宮前平駅」より徒歩1分)。

人との関わりをきっかけにこの世界に

大学卒業後、大学病院での研修と並行して静岡県内のアルコール・薬物依存専門病院に勤務していました。私が依存症に関心を持ったのは、子供の頃の“出会い”がきっかけです。小学生の頃から仲の良かった友人がいます。彼の家に遊びにいくと、麦茶を出してくれたり、アイスを出してくれたり、彼のお父さんが本当に優しく出迎えてくれていたんですね。高校生になった頃だったでしょうか、そのお父さんがアルコール依存症だということを耳にしました。「あんな優しいお父さんがなぜ?」 その疑問から、医療に進むなら、精神科医となり依存症に携わっていこうと考えるようになっていったのです。
その後、大学院で分子生物学・遺伝子関係の研究で学位を取得。次いで、大学病院、県立精神病院の臨床を経て、2001年から宮前区内の精神科病院に勤務し、さまざまな精神疾患の診断・治療、救急対応に携わってきました。そして2022年6月、『おまもりクリニック』を宮前平駅前のクリニックモールにオープンしました。木目とモノトーンを基調とした院内は、まるでリビングルームにいるような雰囲気となっています。車いすの方もご利用可能なトイレも備えており、クリニックを拠点に、あらゆる人の心の健康に寄与していければと思っています。

患者さんの回復をお手伝いするため、豊富な選択肢を提示

これまで精神科医として約31年間、主に精神病院に勤務し、統合失調症、うつ病、躁うつ病、不安症、アルコール・薬物依存症、認知症などの病気や、神経発達症(知的障害や発達障害など)、パーソナリティ障害に伴う不安・うつ・情緒障害などに対する治療に携わってきました。その経験を生かし、クリニックでは、やや重度の統合失調症や躁うつ病にも対応し、持続性注射剤(LAI)による治療もおこなっています。統合失調症や躁うつ病の患者さんは、一定の期間、お薬を続けていただかなくてはなりません。ただ、それが長期間に渡ると、様々な理由で服薬をやめてしまわれる方が多いのも事実です。結果、せっかく再開した活動を中断せざるを得なくなったり、再入院してしまう方も出てきてしまいます。持続性注射剤であれば、お薬を飲み忘れる心配もありませんし、1ヶ月間、効果が持続しますので状態も安定します。そうなれば、再発・再入院という事態が避けられるようになり、ご本人が次に向かう目標を考えられるようになるんですね。現状、クリニックで持続性注射剤を多く扱っているところはまだまだ少ないですが、患者さんの「次」を考えた時、非常に有用な手段となりますし、回復に向かっていく患者さんの支援のため、積極的に取り入れていこうと考えています。

アルコール依存・薬物依存にも対応

クリニックでは、アルコール依存・薬物依存にも対応しており、飲酒欲求低減薬「セリンクロ」の処方のできる医師・スタッフ体制を備えています。「セリンクロ」については、一般の方はもとより、医療関係者においても充分な認識が広まっているとは言えないでしょう。といいますのも、「セリンクロ」を扱うには相応の研修を受け、しかるべき準備が必要だからなのです。先ほどあげた持続性注射剤も然りですが、当クリニックでは患者さんに複数の有用な選択肢を提示できるよう、準備に万端を期しています。また私は依存症リハビリ施設である「川崎ダルク」の設立に関わり、市や区の行政にも携わってきた経験を有しています。必要に応じ、リハビリ施設も有効に用い、患者さんの回復をお助けできればと思っています。

患者さんにとっての「おまもり」に

患者さんご本人の希望、「ああしたい」「こうしたい」という想いを尊重することを何よりも優先しています。押し付けるのではなく、ご本人が考えることで、治療は患者さん主体のものになってきます。その段階では、私たちは患者さんにとって「おまもり」のような存在でいいと思うのです。患者さんが願う健康的な生活を実現するために、一緒に考え、お手伝いし、心の支えになれるように。それが「おまもりクリニック」が目指す医療です。

地域の皆さんへメッセージ

「こんなことで行ってもいいのかな?」「このくらいで……」と思い悩まれる必要はありません。「大丈夫」ということを確認しに来院いただいてもいいのです。まずは一度、ご相談ください。
私が31年間の臨床の中で大切と感じたことは、患者さんは病気の症状やメンタルの不調にお困りで病院を訪れるわけですが、それと同時に健康的な側面が確実に存在するということです。患者さんの病気の症状を小さくしていくことだけでなく、健康的な部分がふくらんでいくためのお手伝いをすることも私たちの役割として重要だと考えております。患者さんとそのご家族がおだやかな生活や自分らしさを取り戻していくための「おまもり」として、私たちがお役に立てれば幸いです。皆さんのご希望やご要望を中心にして治療方針を一緒に考えていくことを心がけたいと思っております。どうぞお気軽にご相談ください。

※上記記事は2022年6月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

おまもりクリニック 石垣 達也 院長

おまもりクリニック石垣 達也 院長 TATSUYA ISHIGAKI

おまもりクリニック 石垣 達也 院長 TATSUYA ISHIGAKI

  • 出身地: 静岡県
  • 趣味: 音楽鑑賞・演奏、街歩き
  • 好きな映画: ミッション:インポッシブルシリーズ
  • 好きな言葉: 「やらまいか」(静岡遠州地方の方言ですが、あの地域の気質を表している言葉であり、私もこの言葉に勇気をもらっています)
  • 好きな音楽: R&B、ヒップホップ(特に90年代)、ジャズ
  • 好きな観光地: 京都・奈良、ヨーロッパの城郭都市

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