大関 尚志 院長(大関眼科)のインタビュー

大関眼科 大関 尚志 院長

大関眼科 大関 尚志 院長 OHZEKI TAKASHI

眼科医を志されたきっかけとこちらで開業された経緯について教えてください。

医師である父の背中を見て育ちましたので、必然的に職業として医師を選ぶようになりました。父は軍医として招集され中国の天津で勤務したときがありましたが、帰国後は埼玉県熊谷市で開業し一家を支えておりました。その後、父は東京・荏原の商店街の近くで産婦人科医院を営んでおり、地域の方から長年ご愛顧いただきました。かなり激務だったようですが、70歳まで勤め上げた父を現在も尊敬しています。わたしは横浜市立大学医学部で学んだのですが、卒業後も医局に残り臨床と研究に携わりましたので、荏原から長年通い続けました。研究内容は小児眼科と目の感染症です。当時は子どもがたくさんおりましたので、将来性のある分野だと考えていたのですが、開業しようと考えた35歳のころにはすでに少子化を案ずる声が高まっていました。父の跡を継いで産婦人科医になることも少し検討したのですが、現在は眼科を続けて正解だったと思っています。開業当初、子どもは患者さんの7割を占めていたのですが、現在は2~3パーセントくらいになってしまいました。半数以上は60歳以上の方です。
宮崎台で開業したきっかけは、妹の嫁ぎ先がこの地域で内科医院を開業していたことです。当時はこの地域に眼科医院がなかったため、是非近くで開業してほしいと頼み込まれました。溝の口にある眼科医院までは電車に乗らなければならなかったのです。現在はこの地域にも眼科医院の数が増えてきました。

『大関眼科医院』の診療方針を教えてください。

「早期発見」を第一に、診察に当たっています。60歳以上の患者さんが半数以上を占めるようになりましたので、加齢による病気を見つけることが多くなりました。早期のうちに発見し、重症化させないよう経過を拝見しながら治療を行います。診療所のメリットは、気軽にお越しいただけることと、大学病院よりも早い時期に病変が発見できることです。小さな症状で来院された方であっても重篤な病気の可能性があるかどうか、きちんと検査しています。それは、緑内障など自覚症状がないまま進んで重症化する病気があるためです。緑内障は、視神経の細胞がダメージを受けて視野が失われていく病気です。人間の視神経は100万本以上あり、加齢によって徐々に減っていくのですが、ごく一部の細胞は加齢のスピードより速く障害を受けて機能不全になります。この病気が厄介なのは、重症化するまで自覚症状がないことです。一部視神経の消滅で視野が欠けても、大脳が視野を補正するため気づかないケースが多いのです。しかし重症化したときは、失明することもあります。緑内障は眼圧が高くなることにより視神経が障害を受けることが多いのですが、眼圧が正常でも発症する場合があります。それは患者さんの視神経が生まれつき弱いケースで、遺伝的な素質により発症するのです。最近は近視と緑内障に密接な関係があることがわかってきました。近視でお悩みの方は早めにご相談いただきたいと思います。緑内障は40代くらいから発症しはじめます。症状が改善する病気ではありませんので、点眼薬で進行を食い止めるしかありません。
最近患者さんを診察していてよく見つかる病気には、自覚症状がないまま進行する糖尿病の合併症、自覚症状がわかりやすい加齢黄斑変性症などがあります。ご来院いただければ、これら病気の有無を丁寧に診断し早めの処置を行っていきます。大学病院はとにかく込んでいますし、医師は常に多忙を極めております。より精密な検査や手術をする必要がある場合は、適切な大学病院をご紹介いたします。

最近患者さんから相談されることが多い症状は何ですか?

よくお聞きするのはアレルギー症状です。「目が痒い、充血してつらい」とおっしゃる患者さんが多いですね。アレルギーの原因となっているものは、スギだけではありません。ヒノキや街路に棲息する雑草もアレルギー物質を放出しています。最近は中国から風で運ばれてくる有害な大気汚染物質「PM2.5」の存在も気になります。環境は悪くなっています。

目の健康を守る秘訣について教えてください。

まず近視気味の患者さんは、常日頃から意識的に目を酷使しないようご留意いただきたいと思います。近視が進行しますと、網膜の障害が起きます。近視が進行する理由はよくわかっていないのですが、姿勢が悪いまま本やPCに向かうと確実に進行します。作業の合間に散歩に出かけて遠くを見るなど、意識的に目を休ませてください。目に悪影響を及ぼすもうひとつの大きな要素は紫外線です。皮膚がんを引き起こすことはすでに知られていますが、目に与えるダメージも大きく白内障の原因になります。紫外線が強くなる季節には、サングラスをかけるなどして予防していただきたいと思います。

診察で心がけていることと、地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

診療方針のところでも申し上げましたが、一番心がけていることは重症化すると危険な病気を見落とさないことです。早期発見して重症化しない方策をとります。患者さんには、初診の後も2~3ヶ月に1回は眼底検査を受けていただきたいと思います。わたし自身が常日頃感じることは、この地域は病院が多く医療サービスに恵まれていることです。「国民皆保険制度」により、この国では良質な医療が平等に受けられます。また「フリーアクセス制度」が守られていますので、患者さんが病院を選ぶことができます。気になることがあれば、どんな小さなことでもかまいません。お近くの診療所にお気軽にご相談ください。大学病院は常に混雑しており、医師は患者さんのお話を丁寧に伺う余裕がありません。ご近所の診療所をフル活用していただきたいと思います。

※上記記事は2014.2に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。

大関眼科 大関 尚志 院長

大関眼科大関 尚志 院長 OHZEKI TAKASHI

大関眼科 大関 尚志 院長 OHZEKI TAKASHI

  • 好きな本・愛読書: 夏目漱石・森鴎外・武者小路実篤などの純文学、吉川栄治「宮本武蔵」などの歴史小説
  • 好きな映画: 黒澤作品など
  • 好きな音楽: クラシック
  • 好きな言葉・座右の銘: 強く、正しく、睦しく
  • 好きな場所・観光地: 草津(音楽祭・温泉・山歩きが堪能できます)
  • 生年月日: 1942年3月21日
  • 出身地: 埼玉県
  • 血液型: O型
  • 趣味・特技: クラシック音楽鑑賞(音楽祭にも出かけます)、オーディオ、待合室に置いている洋蘭の栽培

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