宮前平トレイン耳鼻咽喉科 伊東 祐永 院長 SUKENAGA ITO
金沢大学卒業後、医局とクリニックで腕を磨き2014年に宮前平駅前で開業(東急田園都市線宮前平駅より徒歩3分)
幼児の耳鼻疾患を熟知、地域の親子の健康維持に尽力
金沢大学卒業後、医局とクリニックで腕を磨き2014年に宮前平駅前で開業(東急田園都市線宮前平駅より徒歩3分)
幼児の耳鼻疾患を熟知、地域の親子の健康維持に尽力
場所を選ばず、体力のある限り続けられる仕事であること、そして目の前で困っていらっしゃる方を直接お支えできる仕事であるという理由から医師を選びました。
なかでも耳鼻咽喉科を選びましたのは、若いうちから外科手術の実践が学べたからです。もちろん感覚器としての面白さもあるのですが、他の科よりも早く外来や手術を担当することが出来ました。また耳鼻科は、最初から最後まで首尾一貫して一人の患者さんを診察できることも魅力のひとつです。内科などの場合、病気の診断をして手術が必要になったとき、実際の手術は外科に依頼することが多いためです。
金沢大学を卒業して母校医局と関連病院で7年ほど勤務した後は、横浜のクリニックで7年ほど勤め、機が熟したと感じた2014年に宮前平トレイン耳鼻咽喉科を開院しました。宮前平は共働き子育て世代の方が多くお住まいであること、そしてこの物件が駅のすぐそばであったため、こちらを開業地として選びました。
お子さんの診察をする機会がとても多く、郊外にお住いのお子さんとその親御さんがどんなことでお困りか、わたしなりに把握してきました。そこで開業するときは、共働き世代の親子の力になりたいとずっと考えてきたのです。また保育園児を抱えた親御さんが通いやすいよう、駅から近いことも条件として考えていました。希望していた条件をあれこれ満たす場所が見つかり、ラッキーでした。
先ほども申し上げました通り、お子さんの疾患をできるだけ見たいと考えてきました。特に一番気を付けていただきたい疾患が「中耳炎」です。中耳炎に罹患するお子さんの多くは1歳から2歳くらいのお子さんです。これには大きな社会的事情があります。
現在首都圏ではどの地域でも保育園が足りておらず、大変ひっ迫しています。本来保育園入園は2歳を過ぎてからが望ましいのですが、その年齢より前に入園の権利をとっておかないと、後から入るのが難しくなります。親御さん(特にお母さん)はできるだけ早く職場復帰されたいことから、小さいうちからお子さんを保育園に預けることになります。すると、入園時の年齢はだいたい生後6ヵ月から1歳6か月前後になります。
2歳未満のお子さんはまだ免疫機能がとても低い状態にあります。そのようなお子さんが一か所に集まるわけですから、ひとりが風邪を引くと相互で感染が広がります。常に鼻汁や痰でぐずぐずしている鼻の中にばい菌が入ると、鼻から耳管を通って中耳に届きます。鼓膜の奥にある中耳は、鼻の奥と耳管でつながっているからです。そして症状が進むと、中耳が痛くなったり、耳だれが出てきます。さらに鼓膜にも汁がたまり、その状態が数か月続くと成人後もつづく難聴などを引き起こすこともあります。厄介なのは、「風邪だから」と甘く見て、中耳炎が放置されてしまうことです。市販薬や小児科で処方された薬で熱や症状が緩和されれば、あとは様子見の段階に入るため、中耳炎があっても見過ごされてしまいがちです。
こちらで開業してから親御さんにお伝えしていることは、とにかく風邪を引いたら中耳炎に罹患していないか耳鼻科を受診していただきたいということです。幸い、最近は早めの対策を考えられる親御さんが増えてほっとしています。
当院が力を入れている治療のひとつが「スギ花粉症舌下免疫療法」による花粉症の緩和です。この治療は、原因物質であるスギ花粉を含むエキスを舌の下に投与し体内に吸収させるもので、継続的に行うことで症状を軽減させることができます。従来の治療では、12歳以上の方に対し保険適用となる薬を使ってきました。
近年は小学校低学年から花粉症を発症する患者さんが多く、低年齢層に対応した治療が急務となってきましたが、幸い2018年6月29日より5歳以上から保険適用になる新薬が使えるようになりました。この治療によって日常生活がずいぶんと楽になるお子さんがいらっしゃると信じています。
また「スギ花粉症舌下免疫療法」を幼少から行うことには、大きなメリットがあります。本来はスギ花粉症にしか効果がないものではあるのですが、まだ罹患していないほかのアレルギーが出にくくなるという報告があります。年齢を重ねるごとにアレルゲンの種類が増えてくるのですが、新たなアレルギーが発症しにくくなるのだそうです。
「スギ花粉症舌下免疫療法」は効果の高い治療法としてお勧めしているのですが、残念ながら「めんどくさそう」「やっと症状が収まったから今はいいです」といった具合に二の足を踏まれる方が少なくありません。シーズンの後に始まる治療だからです。また勤め人の方ですと、平日通院できませんので必然的に込んでいる土曜日に来院されることになります。当院では土曜、日曜も含めこの治療が進めやすい工夫をしていますので、ご興味がある方はどうかご相談ください。
また、舌下免疫を「スギ」に加え「ダニ」についても始めました。
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因はダニとハウスダストです。ハウスダストのうち主なアレルギー成分はダニの死骸や糞とされており、ダニアレルギーが克服されれば通年性アレルギー性鼻炎や気管支喘息には大きな効果が期待できます。
当院では補聴器の利用サポートも行っています。補聴器は、実は満足して使っていらっしゃる方が少ない医療機器で、「ない方がまし」という評価される人も多いくらいです。それは補聴器に対する「誤解」が大きく起因しています。
眼鏡屋さんやデパートで補聴器を購入した後、いざ装着すると音が自分の望み通りの大きさでないことにがっかりして、タンスの肥やしにしてしまうことが多いのだそうです。補聴器はすでに調整が済んでいる眼鏡とは異なり、耳鼻科医師、販売業者と二人三脚でトレーニングを行いながら使っていくものです。多くの場合その説明が省かれているようです。
正しい使い方は、(1)ある程度の大きさの音で使いはじめ、朝から夜まで長時間装着する、(2)望ましいボリュームに少しずつ調整する、(3)装着したまま微調整をしばらく続ける…といったものです。残念ながら「自分のものになる」感覚が得られるまでには2-3か月かかりますが、わたしがしっかりサポートいたします。
地域の皆様には、敷居が高い場所だと考えずに耳鼻科を受診していただきたいと思っています。風邪や花粉症によるのどや鼻の状態は、続くと不快ですし思わぬ疾病につながることもあります。
また当院では漢方も上手に使いながら、症状の緩和を行っています。日本は西洋医学と漢方の両方を保険適用している世界的めずらしい国です。こんない良い制度を使わない手はありません。
※上記記事は2018年06月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。
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