この道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯をお聞かせください。
以前から科学的に納得のいく仕事がしたいという気持ちがありました。科学的、合理的にと言うとコンピューターの分野、電子工学と様々ありますが、そこで医学を選んだのは人と関われるという部分になります。人と人とが触れ合う仕事が出来るという面に惹かれたんです。実を言うと子供の頃は自分の興味がまず先にあって、人の役に立つ云々ということまでは考えていなかったですね(笑)。
診療科目を選ぶ際に脳外科ですとか、当時の最先端の技術に憧れたことはありましたが、患者さんの全身の管理に携われるということで内科を選びました。私の専門である循環器内科はその内科の中でも特殊と言えば特殊ですね。心臓カテーテル検査に代表される手技はかなり外科的な要素の強いところがあります。技術への欲求がこの科を選んだ理由かもしれません。
東京大学を卒業した後、大学の医局に籍を置いて各地の関連病院で臨床にあたってきました。大きな病院はどこもそうなのですが、「とにかく忙しすぎる」という面があります。一人の患者さんにかかわれるのは、だいたい3ヶ月に1度くらいです。患者さんと医師、双方が納得のいく治療をおこないたいという思いから、2009年12月に『あおやぎ内科循環器クリニック』を開院させていただきました。
こちらのクリニックの特徴についてお聞かせください。
例えば高血圧や糖尿病という疾患は、何日か治療すれば病院に来ないでよいという類いのものではありません。気持ちとしては月に1回、美容室で髪を整えるようなイメージで来院していただき、血圧を測り、食事についての話を聞き、自分の健康状態を意識してほしいと思っています。そうしたことを繰り返していくことで、未然に大きな病気も防げることも多々ありますからね。当院は患者さんの健康管理を担うかかりつけ医でありたいと考えています。また、当院では内科一般の診療に加えて、専門である循環器内科の領域で、地域での外来診療や二次予防医療にも貢献したいと考えています。例えばペースメーカーを使用しておられる方、ワーファリン等の難しい薬を服用されている方など、従来は大学病院に通わざる得なかった方々のケアに注力したいと思っています。
開業医は様々な病気に注意を巡らせる必要がありますが、専門性を活かすことで患者さんの様々なニーズに対応出来るのではないかと考えております。
診療の際に心掛けていることをお聞かせください。
患者さんのお話をよく聞くということは非常に大切なことだと考えています。若く能力のある医者にありがちなことですが、目の前の患者さんのお話より、データや客観的な所見に眼が向いてしまうことがあります。私自身、若い頃はそういう傾向がありましたからよくわかるんです。しかし患者さんからすれば目下のところの悩みが切実で病院に足を運んでおられます。身体がかゆいですとか、夜寝られなくて困っているですとか。患者さんのお話から一つ一つの悩みの種を拾い、それに対して真摯に向き合うことが求められていると思っています。
私は1つこだわっていることがあって、来院された患者さんは全て直接診察することにしています。お薬だけを処方するとか、看護婦さんが血圧を測って私は数字を見るだけということはしたくないんです。
「別に先生が自ら血圧を測んなくても…」という声があることは承知していますが、血圧を測るということは患者さんの手に直接触れることであり、間近でお顔を拝見することでもあるんです。そのことで数字に表れない身体の変化を感じ取ることも出来るんです。
「薬だけ処方してくれればいいから」という患者さんもいらっしゃいますが、ある意味、そこは意地になって直接患者さんを診察するようにしています(笑)。
クリニックの検査機器についてお聞かせください。
心エコー(心臓超音波検査)やホルター心電図などの専門的検査機器を備えていることは当院の特徴のひとつです。開業医でこれらの検査機器を置いてあるところは少ないかと思いますが、これがあることで重大な疾患の兆候を察知し、しかるべき措置をとることが可能になるのです。また血液検査等についても小回りの効くクリニックならではの迅速な対応を心掛けています。やるからには自分の納得のいくレベルの医療を提供したいという思いがあるわけです。そこは医師として、職人としてのこだわりです。洋服は着古していても包丁はピカピカにしときたいんですね(笑)。
最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。
循環器系の病気で注意していただきたい症状は胸痛や動悸、息切れということになります。このうち胸痛に関して言うと、内蔵から生じる痛みというのは案外漠然としたものなのです。時間で言えばどんなに短いものでも1分から2分、それ以上長く続くものであり、痛みの範囲も指で指せるような範囲のものではなく、もっと漠然としています。キリっと刺し込むような5秒、10秒の痛みは表面の症状、神経や筋肉を因とすることが多いので、ご心配には及ばないかと思います。もちろん、これはあくまでも一般論になりますので、あまりそうした痛みが頻繁に起こるようであれば専門医の診断を仰いでいただくことをお薦め致します。当クリニックは家内とともに「人を大事に」ということをモットーとしております。循環器を専門にしておりますが、それ以外でも何か気になることがありましたら安心してご相談ください。スタッフ皆が温かで丁寧な対応で皆様をお迎えします。
※上記記事は2011.6に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。
あおやぎ内科循環器クリニック 青柳 昭彦 院長 TERUHIKO AOYAGI
- 出身地: 山梨県
- 趣味・特技: 野生動物観察
- 好きな本・愛読書: 自然、生物に関するもの
- 好きな映画: It's a Wonderful Life
- 好きな音楽・アーティスト: ボストンシンフォニー
- 好きな場所・観光地: イエローストーン国立公園(アメリカ)